え!正式名称でも、社名でもない、商号はそんなに重要なの?

目に見えない観念的存在ですから、法人の商号の重要性は一段と高い

法律の世界において、主人公はまぎれもなく「」であります。

単に人といわれますと、我々のような生身の体を持った人間個人を想像しますが、法律の世界ではそれに限られません。法的に「人」といえば、人間個人(正式には「自然人」といいます。)と法人とのいわば総称なのでございます。

 

人にはそれぞれ人格が認められ、お互い尊重しあわねばなりません。

それはお互いの違いを認め合うことから始まります。

違う存在である以上、それを区別する基準は欲しいものです。

自然人の場合は、一般的に、氏名住所をもって、その人を他人と区別し特定しております。

これと対応するように、法人の場合、そのお名前を商号(ショウゴウ)といい、そのお住まいを本店というわけなのです。

 

このように自然人の場合も法人の場合も、お名前とお住まいは、当人を唯一無二の存在として特定するため非常に重要なのです。

さらに自然人と法人を比べますと、自然人のように、お名前やお住まいが変わっても、そのお顔を拝見すれば、その人であることが分かるというようなことのあり得ない、目に見えない観念的存在ですから、

法人の商号の重要性は一段と高いと言えるのではないでしょうか。

 

ぜひとも会社の商号には、思う存分のこだわりを持って自由にお決め頂きたいわけでございます。

ただし自由は制限の裏返し。完全なる自由は心の中にしかありません。

念のため、会社の商号を決めるに際し問題となる制限についてまとめておきましょう。 

 

<商号の制限まとめ表>

  良い例 悪い例
会社の種類の表示

株式会社愛してnet

・愛して合同会社net

・愛してnet有限会社

・愛してnet会社

合同愛してnet会社

・愛してnet

符号の位置

・株式会社愛してnet

・株式会社愛してnet

・株式会社愛してnet

株式会社愛してnet

・株式会社愛してnet

株式会社愛してnet

同一本店かつ同一商号 株式会社愛してnetが所在するオフィスと異なるオフィスで合同会社愛してnetを経営 株式会社愛してnetが所在するオフィスと同じオフィスで株式会社愛してnetを経営
誤認させる意図

株式会社愛してnetが実在することを知り合同会社愛してnetを経営

株式会社愛してnetが実在することを知っているのにあえて株式会社 愛してnetを経営

法令による制限

・株式会社愛してnet

・株式会社愛してnetバンク

・株式会社勤勉愛してnet

・株式会社司法書士愛してnet

・株式会社愛してnet銀行

・株式会社賭博愛してnet

 文字数は無制限

※30文字以上の商号を有する会社も実在します。

ただし官報公告が必要なケースでは、新聞掲載料が割高になったり、社名を記載する書類について特注対応が必要になったりというデメリットもあるでしょう。